「時極まれば而ち転ず(とききわまればすなわちてんず)」とは、物事が極限に達すると逆転や転換が起こるという、古代中国の思想に基づく言葉です。この考え方は、陰陽や易経に見られる自然の摂理に根差しています。つまり、盛者必衰・栄枯盛衰といった無常観とも共通する思想です。
たとえば、政治の世界では絶頂を極めた政権や権力者が、時とともに衰退し、やがて別の勢力に取って代わられることがしばしばあります。経済の分野でも、ある業界や企業が長期間繁栄を続けると、やがて市場の飽和や技術革新などにより衰退に転じることがあります。これらは「時が極まる」ところまで到達した結果、「転ずる」現象だと捉えられます。
この言葉の背後には、「変化は必然であり、永遠に続く状態はない」という哲学が存在します。人間関係や人生にも当てはまる概念で、苦しい時期が続いても、必ずしも永遠ではなく、やがて好転する可能性があるという希望にもつながります。
したがって、「時極まれば而ち転ず」は、驕ることなく慎みを持つと同時に、困難な状況においても希望を失わないための、普遍的な人生訓とも言えるでしょう。
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